不当解雇とは
・会社から、自ら望んで辞めるように誘導されたり、
退職に応じるように仕向けられたりしていませんか?
・仕事のミス等を指摘され、労働条件の切り下げなど不利な立場に追い込まれ、
辞めざるを得ない状況に追い込まれていませんか?
このような、使用者(会社)が、このような行動をとろうとするのは、解雇が簡単に認められないからだと考えてください。
突然の解雇以外にも上記のようなケースで退職に応じざるを得なかった場合も、不当解雇になる可能性があります。
会社があなたに「辞めろ」と言う「解雇」と、あなたが会社に「辞める」と言う「退職」とでは、会社を辞めてからもらえるお金や失業保険の給付時期など、全く違ってきます。
あなたの正当な権利を守る為、不当解雇がどのようなものなのか、また、どのように対応すればいいのか弁護士に相談して一緒に考えていきましょう。
1.会社は従業員を簡単に解雇できない
法律では、会社はそう簡単に従業員を解雇できません。
最高裁判例を踏まえて制定された労働契約法16条により、
「解雇は、客観的に合理的な理由を下記、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」と決められているからです。
会社が従業員を解雇できるのは、以下の3つの場合とされています。
○懲戒解雇
懲戒解雇とは、会社の秩序を著しく乱した場合に制裁として行われる解雇です。盗みや横領、暴力、賭博や重度のセクハラ、経歴詐称や2週間以上の無断欠勤等が主な懲戒解雇の理由となります。但し、就業規則で懲戒の種別と理由を定めて、労働者に知らせておくことが前提となります。
○整理解雇
業績不振のため、人員整理をすることを整理解雇と言います。整理解雇するには、下記の4要件を満たしていなければならないとされています。・人員削減のための解雇の必要性があると認められる
・解雇をしないで済むよう、努力の跡が見える
・解雇する人員に対し、客観的資料と評価の合理性があること
・労働者、あるいは労働組合との協議・説明
○普通解雇
上記以外の解雇一般を普通解雇と言います。・能力不足
・遅刻、欠勤
・ケガ、病気
・暴言、反抗的態度
等が理由になりますが、解雇が無効になることも多々ありますので、まずは弁護士にご相談下さい。
2.会社はこんな方法で自主退職(不当解雇)を仕向けてくる
会社は、あなたの自主退職を促すよう様々な手口を使ってきます。以下は当弁護士事務所に相談された主だった事例です。
○退職勧奨(退職のほのめかし)、希望退職募集
例えば、・会社の社長や上司に「辞めてしまえ!」と恫喝・脅しをかけられる。
・「退職合意書にサインをしてくれたら、解雇という形にはしない」と言われている。
・希望退職者には有利な条件で辞めることができるからと、
会社側から再三の申し入れがある、等。
○勧告文書
・労働者のミスや不備(遅刻や早退)等について勧告し、改善がなされない場合は解雇あるいは退職してもらう趣旨の文書を渡される等。※企業経営に支障が出るくらいの重大な能力不足であり、配転や降格、研修や教育訓練等の措置を講じても解消しないといった場合でない限りは、解雇は無効となる可能性が高いため弁護士に相談するなど会社側へ解雇の無効を訴えましょう。
○労働条件の不利益変更、出向・転籍
・賃金カットや労働時間の延長等、労働条件を悪くされた場合(労働条件の不利益変更)は、何が根拠なのかを明確にしてもらいましょう。無効となる場合が多いので、まずはご相談下さい。
※就業規則等に「出向を命ずる」旨の細かい規定があれば、それを持って同意とみなされますが、原則として本人の同意が必要です。必ず文書化したものを確認し、労働条件の変化によっては無効となる場合もあります。
不当解雇を受け入れてはいけません
○とにかく「辞めません」で突っぱねる
退職勧奨は、会社の命令・指示ではありません。強制力はないので、会社を辞めたくないのであれば「辞めません」と言うことです。退職同意書や退職届にサインをするように促されても、その場でサインしてはいけません。「預かります」「検討します」等で、即答はしないようにしましょう。また、脅されたり、あなたを挑発するような言葉を投げかけられても、それに乗ってはいけません。退職に同意するような「はい」や「分かりました」という言葉も使わないほうがいいです。
怒りにまかせて「辞めます」等も言ってはいけません。
そして、負けずに頑張って出社してください。出社は「辞めない」の意志表示です。
※もし、無理やり退職同意書等を書かされたり、サインを強要された場合、明らかに会社が脅迫や詐欺のようなやり方で退職勧奨した場合、退職の意思がないことを伝える内容証明便を送ることで、退職届を無効、あるいは取り消しにすることも可能です。
○証拠を残しておきましょう
できる限りの証拠を取りましょう。具体的な方法としては、以下のようなものがあります。1.メモ・書面化
社長や上司から退職勧奨等を口頭で受けた場合、書面化してもらうよう伝えます。録音等ができない場合は日記やメモにいつ、どんなことを言われたかを詳細に記録しておきます。2.録音
できることならば、社長や上司とのやり取りを録音しておきましょう。ポケットサイズのボイスレコーダー等を利用することをお勧めします。3.メール
社長や上司から届いたメールは証拠になりますので、取っておきましょう。パソコン上のデータは、消去される恐れがありますので、必ずプリントアウトして取っておきます。それでも解雇されてしまった場合
解雇予告制度と解雇予告手当
会社が社員を解雇するときは、解雇する30日前までに解雇の通告をしなければなりません(解雇予告制度)。解雇予告なしで解雇をした場合、解雇前3カ月の平均賃金の30日分を支払わなければなりません(解雇予告手当)。もし、「明日から来なくていい」「辞めろ」等と言われた場合でも、そこから30日分の賃金をもらえます。内容証明便を出して請求します。
解雇通知書を請求する
会社に解雇通知書を請求します。解雇通知書は、会社があなたを解雇したという証明書ですから、裁判等になったときにも必要です。解雇理由は往々にして都合のいいように変えられていくので、当初の(本当の)解雇理由を確定させておく必要性があります。解雇理由の証明書を請求する
会社は解雇理由を文書で提出すべきです。解雇理由の証明書を請求します。解雇の理由をはっきりさせておくことが今後の争いをどう進めるかで、重要になってきます。退職を選ぶ場合
解雇ではなく、退職を選ぶ場合も、会社の思うがままになるのではなく、以下のようなことについて交渉・請求をしてみましょう。
- 離職票の退職理由に「解雇」あるいは「会社都合」と書いてもらう。(失業保険の受取時期に関わります)
- 再就職先の斡旋
- 退職金の上載せ等
- 退職日の決定、有給休暇・年金・ローンの取扱等
※会社は自己都合退職をさせたがっているのですから、その条件を呑む代わりに○○してほしい、といった条件交渉をしてみましょう。
雇用保険(失業保険)について
雇用保険(失業保険)の受給資格は下記の通りです。あなたが受給資格があるかどうか、
まずは確認してみましょう。
○雇用保険受給資格がある人
- 離職の日以前2年間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある雇用保険に加入していた月が通算して12ヶ月以上あること。
(特定受給資格者については、離職の日以前1年間に、賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある雇用していた月が通算して6ヶ月以上ある場合も可) - ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
雇用保険は再就職を支援するための手当ですので、職に就く意思の無い人、あるいはすぐに仕事に就けない人(病気やけが、結婚・妊娠・出産・育児等)には給付されません。
○失業給付金
失業給付金については、離職日の満年齢、被保険者であった期間、離職理由等によって変わってきます。ハローワーク等で問い合わせてみましょう。
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