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新日鉄君津製鉄所の元従業員労災認定

新日鉄君津製鉄所(千葉県君津市)の元従業員の男性(60)=埼玉県入間市=が、アスベスト(石綿)を扱う業務に10年以上携わり肺がんを発症したのに労災認定しなかったのは不当として、木更津労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、請求を認めた。判決によると、男性は10年以上従事していたことなどから、業務と肺がん発症との因果関係を認めました。

●波多野からのコメント
 平成24年2月23日、東京地裁で石綿(アスベスト)に由来する肺がんの労災の初めての先例的な被災者側勝訴判決がおりました。報道もされました。
 一見地味かもしれませんが、私も弁護団の一員として肺がんアスベストの事件を神戸地裁で4件係争中のものに関与していますが、厚生労働省の肺がんの認定基準が医学的にも国際基準にも反するため、救済の範囲が異様に狭いため救済されるべき被災者の方や遺族の方が暗数として相当いると見込まれます。
 今回の東京地裁の判決は、被災者側・遺族側が求め続けていた主張が通ったものであり、厚生労働省の認定基準に関する通達(07年)について合理性に疑問があり、救済範囲を狭めるもの」「石綿小体の本数規定は本来は、従事歴10年未満の人を認定するための救済規定で、既に従事10年以上の労働者に要求するのは、救済規定の趣旨に反する」等として処分を取り消したものでした。
 医学的知見や国際基準からすれ...ば当然の判決ですが、そこが簡単にいかないのが、国を相手にする行政訴訟なので、インパクトがある判決だと思います。 過労死や過労自殺の労災においても、アスベストの事件においても、司法による判断の積み重ねによって、行政基準がよりましに、よりよく変わっていく契機になるので、少しでもその現場に関与できることは弁護士(きっと裁判官も同じだと思います)にとって、非常にやり甲斐がありかつうれしいことだと思います。
 東京地裁の判決を獲得された弁護士はこの困難事件をたったひとりでやりとげたのもまた驚きです。過労自殺の画期的な電通最高裁判決を獲得したのが故藤本正弁護士ただひとりと同じようにただただ驚くとともに賞賛の言葉しかありません。
 神戸地裁の判決も近づいていますが、東京地裁の勝訴判決に続きたいと思っています。

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